Gaussian 09
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Gaussian 概要 | Gaussian 16 新機能 | GaussView 概要 | GaussView 6 新機能
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Gaussian 09は、電子構造計算プログラムGaussianシリーズ中で最新のバージョンです。化学者、化学エンジニア、生化学者、物理化学者や化学的に興味ある新しい研究エリアの人々によって使われています。
Gaussianは、量子化学の基本的法則を基礎として、基礎的な計算から誘導される様々な分子の特性と一緒に、エネルギー、分子構造及び分子系の振動数を予測します。安定分子だけでなく短寿命中間体や遷移状態構造といった実験的に観測することが困難もしくは不可能な化合物まで、広範囲な条件下での反応や分子を研究に用いることが可能です。ここでは、新しく改良された機能の幾つかを紹介します。

ONIOMを使用した巨大系の反応モデリング
ONIOMは、MO:MM計算において「electronic embedding」機能を持っています。それによって、MM領域の静電特性がQM領域の計算時に取り入れられます。また、高速で信頼性のある最適化アルゴリズムを持っています。このアルゴリズムでは、各モデル系内での原子間カップリングを取り入れ、特にMM層ではmicro-iterationを全体のリアル系の最適化ステップの間に行っています。Gaussian 09では、ONIOMに関して以下の多くの機能強化が行われています:

  • 遷移状態の構造最適化
  • より高速なIRC計算
  • 「electronic embedding」を含んだ振動計算
  • 溶媒中での計算
  • 実行速度の向上
  • 全体にわたってカスタマイズできるMM力場
  • 正確な解析的勾配と振動数による、新たなAM1, PM3, PM3MM, PM6, PDDG半経験的方法の実装 (パラメーターは全てカスタマイズ可能)


非heme型の鉄酵素isopenicilin N synthase (IPNS)
原子数5,368(図は水素原子を非表示)。
これは、基本的な生化学過程での重要な触媒の典型的なものです。この分子をモデリングする事により、タンパク質の母体と金属中心が個別に酵素系の触媒活性にどのように寄与しているかと言う事が明らかになりました。
以下の文献を参照:
[M. Lundberg, T. Kawatsu, T. Vreven, M. J. Frisch and K. Morokuma, JCTC 5 (2009) 222.]

ONIOM機能を利用したIRC計算のエネルギープロット
Gaussian 09のONIOM機能により、研究中の反応の遷移状態構造を最適化しました。構造最適化でのmacroとmicroの繰り返し手法を完全にカップリングしているため、MM層内部のQM層の二次カップリングが明示的に含まれます。最適化された遷移状態構造は、振動数計算により検証しました。そして、反応経路を計算するためIRCの出発構造としました。計算により得られた結果のプロットを左に示します。

計算したIRCからの構造
下図は、GaussView 5を使用して、IRCアニメーションの途中を静止画として作成しました。これらの構造に対応するエネルギープロット上の点を、上図にアスタリスクで示します(左から右)。中央の構造が遷移状態です。黄色で示した硫黄原子の近くの水素原子が、反応経路上で転移して行くのが分かります。

気相および溶媒中での励起状態の研究
Gaussian 09には、励起状態系や反応とその過程を研究するための新しい多くの機能が含まれています:

  • 解析的な時間依存DFT (TD-DFT) 勾配
  • EOM-CCSD法
  • 状態固有の溶媒和励起および低準位への遷移
  • Franck-Condon and Herzberg-Teller解析(FCHT)
  • 溶媒中(平衡および非平衡)でのCISおよびTD-DFT計算の完全対応
ポルフィリンのQxバンドの、計算値と実測スペクトルの比較。
これらのグラフは、高解像度準線形吸収および発光バンドを比較したものです。プロットは、計算および実測の強度をω(吸収)およびω3(発光)で割ったものです。基底状態をDFT法で励起状態をTD-DFT法でPBE1PBE関数(いわゆるPBE0)を用い、構造最適化および振動数計算を行いました。基底状態から遷移状態への振動解析での電子遷移強度はFranck-Condon Herzberg-Teller法を用いました。これら全ての機能は、Gaussian 09に実装されています。計算したスペクトルの振動数軸は0.95をかけて縮めています。より詳細な計算内容については、以下の文献をお読みください:
F. Santoro, A. Lami, R. Improta and V. Barone, J. Chem. Phys. 128 (2008) 224311.

その他の新機能
Gaussian 09には、他にも以下のような新機能が導入されています:

  • 溶媒和機能の大幅な強化:上で述べた励起状態系での機能に加え、SCRFに新しい機能が実装されています。形式的な連続平面電荷により、反応場の連続性、平滑性および堅牢性を保証します。また、原子の位置と外部摂動場に関する微分の連続性も保証されます。この結果、溶媒中での高速でより信頼性の高い(気相と変わらないステップ数での)構造最適化と正確な振動数計算が可能になります。
  • Brueckner Doubles (BD) 法による解析的勾配
  • 追加のスペクトル予測機能:DFTによる解析的な一次超分極率と数値的な二次超分極率、解析的な静的および動的Raman強度、解析的な動的ROA強度、改良非調和振動数計算。
  • 個々の軌道のポピュレーション解析
  • フラグメントに基づいた、初期guessとポピュレーション解析
  • 操作性の向上:より多くの計算タイプが、信頼性よく再計算可能に。これらには、分子中のフラグメント定義、型による原子の固定、フラグメント定義、ONIOMの層や残基、振動数計算での注目する基準振動の選択や並べ替え、post-SCF強度の保存と読み込み、基準振動の保存と読み込みが含まれます。
  • 多くのDFTの新機能:長距離補正、経験的分散およびdouble hybrid汎関数
  • プログラムの至る所に大幅な速度向上がなされています。大きな分子の構造最適化が高速化され、振動数計算が並列で16倍、IRC計算で3倍、旋光度計算で2倍の向上がなされています。

■Gaussian09 Rev.E.01、Exploring Chemistry 3 リリース (2015年12月24日)
※Exploring Chemistry 3 に関する情報が公開されています。http://expchem3.com/
※Exploring Chemistry 3 のWebサイトでCONFLEXが紹介されています。(2016年4月14日)

E.01 リリースノート・新機能
  • AVX対応のATLASライブラリーを取り入れた、Sandybridge (AVX) x86_64プロセッサーにネイティブでコンパイルする手順が含まれました。
    Sandybridge/Haswell対応バイナリーも新たに用意しました。
  • ECPを用いた時のLinda並列計算でのオーバーヘッドを無くしました。
  • fchkファイルに、計算に用いたG09のバージョンとジョブの状況を示すフラグが出力されるようになり、ジョブが実行中か、途中で停止しているか、正常終了しているかがGUIからわかるようになりました。 振動計算のジョブでは、虚振動の数も出力されるようになりました。
  • 「EOMCC=ListWindow」を指定することで、分子軌道の範囲指定の読み込みを2回行わず1回で済むようになりました。
  • 最適化を行わないscan計算でエネルギー値が大きくなる場合、「****」で出力しないように相対エネルギーの表を出力するようにしました。
  • CIS計算のデフォルト設定と同様に、TDHF励起状態計算でもMOを基準として用いることがデフォルトになりました。
  • Hirshfeld電荷に用いる参照原子を固定したことで、出力される電荷の数値が以前のものから若干変わります。
  • 分割統治法による対角化とSVDのルーチンが、より多くのケースで動作するようになりました。
Exploring Chemistry with Electronic Structure Methods 3rd Edition
  • 電子構造論による化学の探究<第2版>の改訂版である、待望の<第3版>が発売されました。 約20年ぶりの出版となります。
  • 現時点では英語版のみとなりますが、日本語版の準備も進められています。
  • 現在、新規ライセンスをご注文いただくと第3版の英語版が付きますが、ご希望の方には
    第2版の日本語版を付けて出荷させていただきます。
  • 第3版のみのご注文も受け付けています。E-mail:info@conflex.co.jp TEL:03-6380-8290
E.01 バグフィックス
  • 線形従属した基底関数を用いたBD法のグラジエントを計算する時の問題を修正しました。
  • いくつかの基底関数で、「Opt Freq」を指定して実行した時に振動計算の最初のステップでエラーを生じることがあり、これを修正しました。
  • いくつかのECPを用いた時に見られる、Gaussianに含まれているNBO(バージョン3)による不具合を修正しました。
  • 閉殻系の構造最適化で、エネルギーが上昇している段階で線形従属の基底関数の数が減っている時に生じる不具合を修正しました。
  • 「Stable=Opt」と「SCF=XQC」を同時に指定した時の不具合を修正しました。
  • 制限付き開殻(RO)計算で得られた.fchkファイルをunfchkユーティリティーで処理した時の不具合を修正しました。
  • AM1やPM6等の半経験的分子軌道法で用いる“DCore”パラメーターの出力と読み込みを修正しました。
  • 「Opt Freq」を指定して実行した場合の、振動計算部分のルートセクションを生成する時のいくつかの不具合を修正しました:
    - 「PBEHI」または「wPBE」交換関数を含む密度汎関数を用いた場合の不一致
    - DFT TDA Opt Freq」を指定した時に、ルートセクションの情報が正しくないためジョブが失敗する
  • CM5電荷を計算する時のバグを修正しました。
  • SMD溶媒和モデルで、水溶媒用にユーザー提供の非標準パラメーターを用いた時のバグを修正しました。
  • 追加出力を設定した時の、基準振動の電場微分を出力する時の不具合を修正しました。
  • 「CIS=50-50」および「TD=50-50」を指定した計算において、異なる対称性を持つ状態間で誤って非ゼロの遷移双極子ベクトルが得られた場合、それを出力しないようにしました。
  • ECPのスピンー軌道積分中の係数1/2が含まれていなかったので追加しました。スピンー軌道を含まないECPの計算と、スピンー軌道を含む全電子DKH計算は正常です。
  • 「Massage」を含む入力ファイルで、非整数の核電荷を指定する時の不具合を修正しました。
  • FMMを使用した磁化率計算を修正しました。
  • ECPを使用した時の「NMR=Mixed」を指定した計算での不具合を修正しました。
  • 「O3LYP」を指定した時の誤ったエラーメッセージを修正しました。
  • 完全に非縮約型の基底関数を用いたDouglas-Kroll-Hess計算により不要なエネルギーを生じるエラーを修正しました。
  • 「MP2 NMR=Mixed」を指定した場合、無意味な計算を実行せずエラーを出すようにしました。
  • 「ADMP=Restart」を開殻系で動作するようにしました。
  • 基底関数の数が255より大きい場合のCAS計算において、配列に関するいくつかの問題を修正しました。
  • 「Opt=MaxCyc=N」で、デフォルトの上限値である6x原子数よりNを大きく設定できるようにしました。
  • 反復Hirshfeld電荷が正常に機能するようになりました。
  • GD3BJ分散項を用いて得られた振動数が修正されました。D.01において、他のGrimme D3分散項の変形型の汎関数により得られた振動数は、8以上の配位数を持つ原子を含まなければ正常です。
  • 「TDA Freq」で正常に計算できるようになりました。
Gaussian09 Windows版64bit対応ライセンス (2013.10.25)
  • これまで、アカデミック向けWindows版64bit対応のライセンスはサイトライセンスのみでしたが、シングルマシンライセンスも発売されることになりました。
  • シングルマシンライセンスではありますが、出荷前にLicense Agreementにサイトを代表出来る方のご署名が必要になります。
  • Gaussian09 Windows 32bitマルチCPU版、シリアル版等からのアップグレードも可能です。(Gaussian09 Windows 32bit版が入っているPCと同じPCに入れ替える場合)
  • 企業向けライセンスはこれまで同様、シングルマシンライセンス、サイトライセンスがあります。
■Gaussian 09 リリースノート リビジョン D.01 (2013年5月リリース)

D.01 主な新機能
  • 非調和項を取り入れたIR強度等の算出機能の強化
  • 新しいDFT汎関数の追加:
    APFD、HISSbPBE、Truhlarグループにより開発されたM11などの汎関数
  • RamanおよびROAの2段階計算
  • aug-cc-pV*Z基底関数のバリエーション追加
  • 計算性能の向上
D.01 新機能詳細
  • RamanおよびROA強度を、力の定数や基準振動モードの計算と別に計算できるようになり、文献(J. R. Cheeseman and M. J. Frisch, “Basis set dependence of vibrational Raman and Raman optical activity intensities,” JCTC 7 (2011) 3323-3334.)で推奨されているより大きな基底関数を用いてこれらを求めることが容易になりました。
    Polar=Raman(またはPolar=ROA)キーワードにより、先にFreq計算を実行して得たcheckpointファイルから力の定数を取り出し、新たに分極率の微分 (ROAの場合はさらに2つのテンソル微分)を計算して力の定数と組み合わせることで、強度とスペクトルを予測します。ROAの2段階計算の例がTest931にあります。
  • Freq=Anharmonicを指定した計算結果に、IR強度が含まれるようになりました。これにより、出力がより見やすくなりました。
  • 時間依存DFT計算で、キーワードTDAによりTamm-Dancoff近似が使えるようになりました。
  • 以下に示すCIS、TD、およびTDAの新しいオプション指定により、励起エネルギーの範囲を指定することが可能になりました。
    GOccSt=N
    N番以上の占有軌道のみを用いてinitial guessを生成します。
    GOccEnd=N
    initial guessの生成:
    N>0の場合、下からN番目までの占有軌道を使用します。
    N<0の場合、高い方から|N|個の占有軌道を使用しません。
    GDEMin=N
    N/1000 eV以上の励起エネルギーを持つguessを生成します。
    DEMin=N
    N/1000 eV以上の励起エネルギーを持つ励起状態のみ収束させます:
    N=-2の場合、入力から閾値を読み取ります。
    N<-2の場合、閾値は|N|/1000 Hartreesに設定されます。
    IFact=N
    初期の繰り返し計算中に更新する励起状態の数を増やすファクターを指定します。
    WhenReduce=M
    M回目の繰り返しの後に、計算したい励起状態の数を減らします。
  • IFactのデフォルト値はMax(4,g)(gはアーベル点群の次数)です。WhenReduceのデフォルトは、TDは1で、TDAとCISは2です。求めたい範囲内に多くの励起状態がある場合は、より大きな値を指定する必要があります。

  • 複数のDFT汎関数と、2つの経験的分散力モデルが新たに加わりました。
    • EmpiricalDispersion=PFDGD3、またはGD3BJにより、Petersson-Frisch分散力、GrimmeのD3分散力およびD3BJ分散力をそれぞれ用いて計算します。
    • APFDキーワードにより分散力を含むAustin-Frisch-Petersson汎関数を、またAPFキーワードにより同じ汎関数で分散力を含まない汎関数を用いて計算します。
    • B97D3およびB2PLYPD3キーワードにより、B97およびB2PLYP汎関数に GrimmeのD3BJ分散力を加えることができます。
    • HISSbPBEキーワードにより、HISS汎関数を指定することができます。
    • Truhlarグループで開発されている汎関数として、
      SOGGA11M11SOGGA11XM11LMN12LN12N12SX、およびMN12SXが使用できます。

  • 分散関数を含むcc-pV*Z基底関数を増強するオプションが加わりました。
    • sおよびp型関数のみ、HとHeではs型関数を含むspAug-cc-pV*Zを追加しました。
    • 各角運動量に2つの殻を含むdAug-cc-pV*Zを追加しました。
    • Truhlarらの“calendar”基底関数を用意しました。この基底関数のネーミングは、cc-pV*Z基底関数に分極関数を追加したものがAug-cc-pV*Zとして知られていることに由来します。 Truhlarは、“Aug”が英語の8月(August)の略語でもあるので、cc-pV*Z基底関数を増強する新しいスキームに月の名前を付けました。
      例えば、Jul-cc-pV*Z基底関数はcc-pV*ZにL-1までの分散関数を加えたものです。ここでLは、使用されている分極関数の中で最も高次の角運動量を表します。 同様に、Jun-cc-pV*ZはL-2、May-cc-pV*ZはL-3、Apr-cc-pV*ZはL-4までの分散関数をそれぞれ加えた基底関数です。
      デフォルトでは、最低でもs型とp型の分散関数は常に含まれていることに注意してください。これは矛盾を回避するためですが、Truhlarとその共同研究者による最初の定義とは異なります。 TJul、TJunなどを指定すると、制限が無条件に適用される元のバージョンを指定します:
      例えば、TJun-cc-pVDZではCl原子にs型の分散関数のみを追加しますが、FeやBrにはs型とp型の両方を追加します。
  • MMとONIOM(MO:MM)計算の入力に対する予備解析が追加されました。MM電荷による電荷分布由来のモーメントが出力されます。 入力にPDBの情報が含まれている場合、残基上の正味のMM電荷が出力され、そのまま各ONIOM層の正味のMM電荷になります。
  • 新しいSCFオプションとその機能
    • SCF=Bigは、非常に大きな計算(>5000基底関数)の速度を向上させるためにO(N3) ステップを無効にします。
    • SCF=Restartは、SCF計算の再スタートの際に必要の無いステップを飛ばしますが、異なる基底関数や異なる構造を用いた計算からguessを読み込む際に必要なステップも飛ばしてしまいます。 異なる構造または異なる基底関数による計算結果を元にあらたにSCF計算を始めるには、Guess=Restartを使用してください。
    • SCF=YQCにより、非常に大きな分子などでSCFの収束が困難な場合に有用な新しいアルゴリズムによる計算ができます。 最急降下法に続いてSCF=QCに含まれるようなスケーリングした最急降下法を実行しますが、その後二次収束の代わりに標準のSCFに切り替え、標準のSCFが収束しなかった場合のみ二次収束を使用します。
    • SCF=MaxNR=Nにより、SCF=QCで二次収束に切り替える際の閾値およびSCF=YQCで標準のSCFに切り替える閾値を、10-Nに設定します。デフォルトは10-2です。
    • conventional SCFが、任意の角運動量で実行できるようになりました。これは主に、外部プログラムの新しいインターフェイスにとって有用です。デフォルトのdirect SCFが、Gaussian 09内部の計算では推奨されます。
  • Int=SuperFineGridにより、より細かいグリッドを使えるようになりました。UltraFineの約3倍の多さで、より高い精度が求められる場合に有用です。 グリッドの指定は、周期表の最初の2列までは(150,974)で、それ以降は(225,974)です。
  • 原子電荷
    • CM5原子電荷がHirshfeld電荷とともに計算されます。Pop=Hirshfeldあるいは
      Pop=CM5のどちらでも計算します。
    • 計算した電荷をcheckpointファイルに保存して、Geom=Checkを入れることでその後のMM計算に使用できるようになりました。
      Pop=SaveMullikenPop=SaveESPPop=SaveNPAPop=SaveCM5などのオプションにより、それぞれに対応する電荷を保存することができます。 多層ONIOM計算の場合、デフォルトでは明示的に計算した電荷、すなわちQM層にある原子の電荷のみ保存されます。入力ファイルに記述した原子電荷は使用されず、これらのオプションにより保存された新しい電荷に置き換えられます。
      新たに追加されたUnchargedオプションは、入力ファイルに記述した原子電荷を保持し、QM層にあるまだ電荷が求められていない原子にのみ電荷を求めるオプションです。 Pop=(Uncharged, SaveMulliken)Pop=(Uncharged, SaveCM5)などの組み合わせは、元の原子電荷に加えて、電荷が求められていなかった原子に対して新たに求めた電荷も保存します。
    • QEq電荷は、QEqの新バージョンを用いて算出されます。OldQEqオプションにより、Revision Cのデフォルトだった古いバージョンを用いた計算ができます。
      QEq=Unchargedにより、MM電荷が0の原子にのみ電荷が設定され、他の原子は指定された電荷を保持するように制限されます。
  • NBO ver.6のインターフェイスが実装されました。
    Pop=NPA6Pop=NBO6Pop=NBO6Read、およびPop=NBO6Deleteを指定すると、外部インターフェイス経由でNBO6プログラムを使用します。 NBOプログラムとそれを実行するスクリプトは、Frank Weinhold(nbo6.chem.wisc.edu)から入手する必要があります。
  • Freq=NoPrintNMにより、振動計算時に基準振動モードを出力しないようにすることが可能になりました。各モードの振動数と強度は出力されます。
  • Gaussian 09の内部から他のプログラムを実行するのに用いるExternalコマンドが、大幅に一般化されました。 一電子積分あるいは一、二電子積分と他の行列要素を外部プログラムに提供することと、他のプログラムからMOや電子密度のような計算結果を回収することが可能になりました。 全詳細と計算例はg09/docサブディレクトリ(Windowsではdocフォルダー)にあります。Externalキーワードの新しいオプション(スクリプト名に従う必要がある)は以下の通りです。
  • InUnf
    座標と一電子行列要素(重なり、core Hamiltonian等)を含むFortran書式なしファイルを外部プログラムに提供します。 ファイルの内容の詳細はg09/doc/unfdat.txtを、ファイル読み込みと内容の出力についてはg09/doc/rdmat.Fをサンプルプログラムとしてそれぞれ参照してください。 1Elintegralsはこのオプションと同義です。
    2ElIntegtrals
    Fortran書式なしファイルに二電子積分も出力されます。このオプションには
    SCF=Conventionalが含まれます。
    InputFchk
    外部プログラム用のformatted checkpointファイルを生成し提供します。
    OutputUnf
    Fortran書式なしファイルを外部プログラムに提供し、外部プログラム/スクリプトの出力ファイルの代わりに、更新または置き換えられたこのファイルを計算結果としてG09で読み込みます。
    IOFchk
    formatted checkpointファイルを生成して外部プログラムに提供し、その後新しい.fchkファイルを結果を取り込むために読み込みます。
    ReadInputSection
    このオプションは、Gaussian 09が外部スクリプト用に自動的に生成する、外部テキスト入力ファイルの内容を変更するために用いることが可能です。 上記のコマンドの中の1つ(例えばIOFchk)を使ってGaussian 09と外部スクリプトとの間のデータ移動を行う場合、デフォルトの外部テキスト入力ファイルは必要ありません。 このオプションを使うことで、Gaussian 09の入力ファイルからセクション(いつもの空白行で区切られた)を読み込みます。 このセクションの中のテキストは、通常外部テキスト入力ファイルに出力される内容の代わりに出力されます。これにより、外部スクリプトに追加の命令を提供するための柔軟性を提供します。
    Test769が、これらのオプションの例です。

  • 以下のサードパーティ製プログラム用のデータファイルを生成することができます。
    • SCRF=COSMORS:COSMO/RSや他のプログラムで使用するデータファイルを生成します
    • Pop=MK IOp(6/50=1):Antechamber(AMBERツール)用にRESP電荷を算出します。
    • NMR=CSGT IOp(10/93=1):ACIDプログラム用のデータファイルを生成します。

  • 以下のDefault.Route用の指示文が新たに加わりました。
  • -U-
    formchk やfreqchkなどのユーティリティプログラムで使用するメモリ量のデフォルト値
    -F-
    formchkのファイル形式の引数のデフォルト指定
    -M-
    メモリ量のデフォルト値(%Memと同じ)
    -L-
    Lindaのオプションのデフォルト設定( GAUSS_LFLAGS環境変数に渡される)
    -R-
    -#-と同じ

    これらの項目は全て環境変数やUNIXコマンドラインの引数で設定することができます。 環境変数GAUSS_XDEFによる設定は、Default.Routeファイルの-X-行の内容と同じです。 同様に、コマンドラインの引数でg09 -x="value"とした場合も同じ設定になります。例として、以下の記述は全て同じ設定になります。
    -M- 4GB (Default.Route)
    export GAUSS_MDEF=4GB
    g09 -m="4GB" ...

    優先順位は次の通りです:
    コマンドラインの引数、環境変数、Default.Routeの設定、プログラム内部のデフォルト設定
  • Geom=NGeom=Nにより、GaussViewで表示する際に用いる構造最適化のN番目の構造をcheckpointファイルから取り出します。N=1は、入力の分子構造に対応します。 前の構造最適化でredundant内部座標を使用した場合、Geom=Step=Mは自動的にGeom=NGeom=M+1に変換されます。
  • Geom=Connectivityの入力で、結合次数0.1を指定して、分子力場で使用する原子タイプや結合に影響することなく、内部座標を生成するための結合を指定することができるようなりました。

  • Link0指示文の追加
  • %UseSSH
    rshでなくsshを使ってLinda workerを起動する
    %DebugLinda
    Linda workerの起動時と終了時に関する詳細を出力する
  • def2およびQZV基底関数とともに使用されているECPポテンシャルdef2およびQZVを、GenECPの入力で使用できるようにしました。
  • さまざまなタイプの内部座標の生成を抑制できます。
  • Geom=SkipAll
    内部座標の生成を自動的に抑制します:
    全ての内部座標は Geom=ModRedundantの入力部分で明示的に指定する必要があります。
    Geom=SkipAng
    結合の内部座標は生成しますが、結合角および二面角は除外します
    Geom=SkipDihedral
    二面角の生成を抑制します
    Geom=SkipHBond
    水素結合に関する座標の生成を飛ばします
  • IRC=GradientOnlyのデフォルトをDVVではなくEulerPCにしました。
    IRC=(CalcFC,RecalcFC=(Predictor=N,Corrector=M)) を用いることで、IRC計算中に二次微分を断続的に計算することが可能で、この入力では初期位置とN番目の予測子ステップお よびM番目の修正子ステップで二次微分を計算します。

  • 計算性能の向上
    • CISおよびTD計算において、対称性をより有効に使えるようになりました。
    • メモリ内に保存した二電子積分を、対称性適応基底関数の積分に用いるようにしました。これにより開殻系において、対称性があると計算速度が増します。またin-core計算で必要なメモリが減りました。
    • Force=NoStepを大きな系におけるMMの力の計算に用いることで、構造最適化の各ステップに含まれるO(N3)の計算量を回避することができます。
  • 入力ファイルと入力処理の変更
    • DFTBの入力ファイルの処理を、Elstnerにより提供されたファイルと互換性を保つように修正しました。ファイル末尾のHTMLデータは無視します。 乗数--例えば10*1.0--も使用可能です。しかしながら、G09でElstnerのファイルを使用するにはまだいくつか修正が必要です。詳細はこちらをご参照ください。 http://www.gaussian.com/g_tech/g_ur/k_dftb.htm#dftbinput
    • スクラッチファイルの拡張子を、.scrから.skrに変更しました。この変更はWindowsのウィルス検出ソフトによる問題を回避するためです。
    • UNIXおよびMac OS Xにおいて入力ファイルの拡張子を指定しない場合、最初に拡張子.gjfのファイルを探すようにしました。.gjfファイルが無い場合、拡張子.comのファイルを探します。
    • Opt=ModRedundantの入力において、定義した座標の初期値の指定はサポートしません。代わりに、入力構造を指定したい初期値に対応するように修正する必要があり、座標定義では初期値を省略します。
    • Freq=AnHarmonicの追加オプションの書式を変更しました。オンライン版のFrequency キーワードの説明にある“Additional Input for Freq=ReadAnHarmon”をご参照ください。
      http://www.gaussian.com/g_tech/g_ur/k_freq.htm#AnharmInput
D.01 バグフィクス
  • DFTB計算で、CuとZnの基底関数を設定する際のバグを修正しました。
  • post-SCF計算で、.wfxファイルを生成する際の問題を修正しました。
  • QZVP基底関数で重原子を計算する際に、対応するECPを適切に使えるようにしています。
  • 殻の角運動量がkより大きい入力の場合、L=13まで正しく解析するようになりました。 またL=10以上の分子積分の評価に関する問題を修正しました。参考までに、GaussianはL=7をj殻に割り当てます。
  • cubegenユーティリティで、ラプラス密度とROHF密度を正確に算出するようにしました。pure関数 (5d 7f)を基底関数に用いた場合の密度も正確に計算します。
  • Freq=DoTemp機能を実装しました。
  • 励起状態計算の50-50オプションを指定した際の2つのバグを修正しました。
  • Pop=SaveNTOオプションのバグを修正しました(IOp(6/22=-14) を追加する必要が無くなりました)。
  • Gaussian 09 C.01において、修正したredundant内部座標を含むONIOM計算の出力ファイル形式が変わったことによる、GaussView5の問題を修正しました。
  • 鞍点(1つ以上の虚振動)でのFreq=Anharmonicの出力で、エントロピーを出力する際のバグを修正しました。
  • G09 Rev.C.01のWindows 64-bit版のみにあった、post-SCF計算でのメモリのバグを修正しました。
  • frozen atomを含んだ時にOpt=QST2およびOpt=QST3に影響を及ぼすバグを修正しました。
  • ESP電荷フィッティングスキーム(例えばPop=MK)と、入力で指定(Prop=Read)した座標点上の静電由来の物性値の出力を組み合わせた場合のバグを修正しました。
  • SCF=QCSCF=SDSCF=SSDの線形探索での初期エネルギーが間違って設定されるバグを修正しました。 初期エネルギーが間違っている場合、より低いエネルギーを見つけることができないため線形探索が停止することがあります。
  • ONIOM計算で、ECPセクションを読み込む際のバグを修正しました。ECPを適用する原子を元素記号で指定し、かつその指定した元素の最初の原子がMM層にある場合、同じ元素である他の原子にECPが適用されませんでした。
  • 制限付き開殻計算の出力に対するformchkのバグを修正しました:
    全電子密度および全スピン密度をformatted checkpointファイルに正しく保存します。

■Gaussian 09 リリースノート リビジョン C.01 (2011年10月リリース)

リビジョンB.01からの変更点
  • Windows版が64 bitシステムに対応しました。これにより、メモリー2GBおよびスクラッチファイル16GBの制限が無くなります。
  • Windows 64bit並列版のコア数制限がなくなりました。
  • Linux版に、SSE4.2(Nehalem以降)命令セットに対応したバージョンが新たに追加されました。これにより、SSE4.2(Nehalem以降)に対応した新しいAMD64あるいはEM64Tのマシンで、より高速に計算できるようになりました。
  • AmberのツールAntechamberの入力データを直接出力できるようになりました。
  • 最適化アルゴリズムとオプションの変更
    • 最適化中不良な曲率の領域からエネルギーを下げる時に、含めるモードの選択方法を改良しました。これは以下のルートオプションにより制御することも可能です:
    • Opt=NoDownHill
      エネルギーが下がる方向に行こうとしない;RFOに似たステップだけを行う
      Opt=NGoDown=m
      最大m個の固有ベクトルをエネルギー低下ステップで混合する。デフォルトは3。
    • 以前よりも、直線的な結合角をより確実に扱い、かつより頻繁に内部座標に含めるようにしました。これにより、直線に近い結合角がほぼ直線になる場合を含めて、多くの最適化の問題を回避します。
    • QST2とQST3でのTS最適化のための内部座標を生成する際、反応物と生成物の結合情報を統合するようにしました。
    • 最適化で許容されるステップ数の最大値(後のrestartも含む)を減らすことができるようになりました。これは非常に大きな系の計算に際して、メモリとディスク使用量を減らすのに有効です。
    • 最適化中に分子の標準配向座標が180°反転した場合をチェックして反転を回避するようにしました。これにより、最適化やIRC等をGaussViewで動画で表示する際に急転することを回避し、またSCFの収束性を改善します。
    • 内部座標生成のためのメモリ割り当てが、%Memで設定されたメモリ量に比例するようになりました。これにより、以前であれば十分なメモリ量を設定しても実行に失敗する、非常に多くの原子あるいは内部座標を扱うジョブが実行できます。
    • デフォルトでは、水素結合している可能性がある場合内部座標を自動的に生成しないようにしました。 結合座標は他の離れているフラグメントを接続するために加わるので、フラグメントを結合している水素結合の座標は、こちらに含まれるでしょう。
  • BDの一点計算はフローズン・コアをデフォルトにし、コア軌道は相関しないもののBD Fock行列を使って更新するようにしました。 以前のデフォルトでは、コア軌道はHFの値から変更せずそのままにするか、あるいはBD=Readで読み込ませるようにしていました。新しいデフォルトでは、初期軌道の選択に依存しないエネルギーが得られます。 BDの一次微分では、フローズン・コアではなく全軌道が依然として必要で、こちらがデフォルトになります。OldFCBDキーワードで、古い形式のフローズン・コアを指定できます。
  • 大容量なメモリを搭載したマシンでは、完全な直接積分変換および完全な直接MP2を選択します。但し半直接アルゴリズムの方がより速いです。 Default.RouteファイルにTran=SemiDirectを入れることで、MP2や高次のpost-SCF計算の積分変換も強制的に半直接アルゴリズムを採用するようになります。 Default.Routeファイルでは、MP2のような方法を指定するキーワードは全て無視されることに注意してください。そうしないと、全ての計算で同じモデルが指定されることになるためです。
  • post-SCF法でOutput=WfnやOutput=WfXを使用する場合、Density=CurrentとPop=NOABをデフォルト設定にしました。この2つはpost-SCF密度を.wfn/.wfxファイルに保存するのに必要になります。 これらのファイルに出力される力の配向や、ROHF波動関数または線形従属基底関数により力を生成する際の問題も修正されています。
  • 顧客の何人かが、彼らが持つシミュレーションプログラム群の入力として COSMORS用に作成したファイルを使用していたので、G09でその機能を復活させました。
  • 2次の超分極率計算を指定するためのより記述的なオプションとして、Polar=Gammaを加えました。Polar=(DCSHG,Cubic)と同義です。
  • RevTPSS交換相関汎関数を加えました。
  • アクチニドに対するSDDのデフォルトをより最近の基底関数系にしました;以前のデフォルトを指定するときはOldSDDとします。
  • テラバイトおよびテラワード単位でメモリやディスク容量を指定するために、TBおよびTWをそれぞれ使えるようにしています。
  • SAC-CIでDirectオプションが使用可能になりました。このオプションはより大きな分子に適した直接積分アルゴリズムを指定します。
  • Link0コマンドに%OldChkを加えました。%OldChkで指定したcheckpointファイルの中身は、現在のジョブが開始した時のcheckpointファイルのコピーです。 これにより、checkpointファイル上のデータを破壊すること無く以前の計算からデータを取り出すことが可能になります。
  • 第一遷移金属列用のcc-pVDZ分散関数(aug-)を追加しました。
リビジョンB.01からのバグフィックスおよび小さな変更
  • 非常に大きなONIOM(MO:MM)とMMのみの振動計算に必要なメモリ量を減らしました。
  • Amber力場でのimproper torsionの定義は、分子内の原子の順番に依存しています。典型的なタンパク質をAmberプログラムで計算すると、残基内の原子およびPDBファイル内の残基が標準的な順番で並んでいるため一貫性があります。 しかし、GaussViewで一般的な分子を作成するとその結果は入力した原子の順番に依存します。G09では6つの取り得るAmber improper torsionの平均値を求めるように変更しました。 これにより標準的なAmber力場による計算結果との差が小さくなりますが、エネルギー値が分子内の原子の置き換えに依存しなくなります。
  • Pop=MKにIOp33を加えた時の出力に、RESP電荷フィッティングに必要なデータを含めるように戻しました。 しかし、Pop=MKジョブにIOp(6/50=1)を設定することで、G09からAntechamber用のデータファイルを直接生成することができ、こちらの方がRESP用の入力生成方法として推奨されます。
  • PCM溶媒効果を取り入れた時のCIS振動計算のバグを修正しました。
  • 連続ジョブにおいて、Default.Routeファイル中のMaxDiskの設定が、最初の計算だけに適用されていたのを、全ての計算に設定されるようにしました。
  • AM1のAlpBパラメーターが読み込めないバグを修正しました。
  • SCVS計算の収束をより注意深くチェックするようにしました。
  • Stable=OptジョブでPop=SaveBioを入れると、安定性計算を間違うか失敗していました。これが適切に動作するようになり、波動関数が安定になった後に二重直交軌道軌道を保存するようにしています。
  • 対称性が有効な状態で外部に点電荷を置けるようになりました。
  • フローズン・コア近似でのTD-DFTの一次微分のバグを修正しました。
  • NMR遮蔽に関する出力が999原子以上でも出来るように修正しました。
  • DFTBでd関数に補間(解析的でない)パラメーターを使用した時のバグを修正しました。
  • 遅いファイルシステム上でまれに問題が起こる不完全な命令文を修正しました。
  • Guess=Fragmentで計算した時のフラグメント内の電荷と多重度の組み合わせのいくつかで起こる問題を修正しました。
  • Freq=VibRotでコリオリ項の出力を復活させました。
  • 大きなユニットセルを用いたPBC計算のメモリ確保時に起こるいくつかの問題を修正しました。
  • Symm=Looseによるいくつかのケースでの構造の変更具合の不一致を修正しました。
  • NoSymmを指定した時のROMP4の3次のエネルギーのバグを修正しました。
  • CBS外挿計算時の、脅迫的に思われるが不必要な警告を出力しないようにしました。
  • ONIOM(MO:MM)ジョブでmicroiterationを行いかつ途中で計算に失敗した場合に、再計算が出来るようにしました。
  • ONIOM計算でECPを読み込む場合の、複数の中心に同じECPを置いた時のバグを修正しました。
  • IRCとFreqの組み合わせは、TSではなくIRC計算の最後の点で振動計算を行うことになるので、使用出来ないようにしました。
  • Douglas-Kroll-Hessと物性値の、いくつかの対応していない組み合わせについて、間違った答えではなくエラーメッセージを出力するようにしました。
  • 電荷を帯びた分子種にECPを用いる際の、デフォルト(Harris)のinitial guessをを生成する際のバグを修正しました。ECPを用いた時のinitial guessの質も改善しました。
  • FMMや他の積分計算オプションのデフォルトのいくつかを、最新モデルのCPUでより良い性能が出るように更新しました。
  • Formchkコマンドで、値が1013-1を超えた場合のformatted checkpointファイルへの出力を******ではなく-1にしました。これによりunfchkや他のユーティリティでfchkファイルを処理できるようになりました。
  • ONIOMを使って数値的な振動計算を行った後にGeom=Checkを指定した時に影響するバグを修正しました。
  • BDもしくはW1BDとSCRFの組み合わせは、正常に動作しませんので、ルートキーワードを生成した時点で受け付けないようにしています。
  • ほとんどのプラットフォームで、ATLAS BLASライブラリの新しいバージョンを使っています。これにより、非常に大きなメモリ量を使う時に生じたいくつかの問題を解決しました。 しかし、万一このタイプの問題がまだ残っていた場合は、IOp1=NoAssemをルート行に指定することでATLAS行列乗算ルーチンを使用するように変えることができます。
  • SAC-CIジョブで計算した励起状態間の遷移モーメントの出力に関する不具合を修正しました。
  • DFTの経験的分散力とghost atomとの組み合わせが使えるようになりました。経験的分散力とPBCの組み合わせはまだ実装されていないので、エラーメッセージが出力されます。
  • ROHF/RODFTでのOpt Freq指定が、2番目のジョブで制限開殻波動関数によるFreq=Numerの計算を行うことで正常に使えるようになりました。
  • 禁制遷移に対するFranck-Condon計算が正常に機能するようになりました。
  • TDとdouble-hybrid DFT法の組み合わせは動作しない(以前は、double-hybridのSCF計算部分のみを元にしてTDを実行)ので、ルートキーワード生成時にはじいています。
  • IRC=(RCFRC,GradientOnly)計算で、checkpointファイルのHessianを正しく用いるようになりました。
  • 非常に大きな系の計算で起こる、”NIJ > Max2 in MMCore” がエラーメッセージとして出力されるメモリ確保のバグを修正しました。
  • Windows版でExternalキーワードが正常に機能するようになりました。g09\tests\com\test726.gjfを使用例としてご参照ください。
  • G09Wで、--Link1--の行が切り取られた時のマルチステップジョブのフロントエンド出力に関する問題を修正しました。
■Gaussian 09 リリースノート リビジョン B.01 (2010年8月リリース)

リビジョンA.02からの変更点
  • PCMを導入したMP2振動計算のバグを修正しました。
  • 最新版のSAC-CIコードが導入されています。SAC-CI=(Direct,...)と指定することで、大きな系に対してより高速な計算を可能とする新しいintegral-directアルゴリズムを使用できます。
  • ExtraOverlayルートキーワードがA.02では機能していませんでしたが、修正しています。
  • Opt Freq TDの計算で最適化と振動計算を順に実行するようになりました。
  • ユーティリティNewZMatで、入力に2次構造情報を含む場合-opdbオプションを付けて実行するとその情報を出力します。
  • ユーティリティNewZMatで、2つの入力ファイルをマージすることができます。2つのテキストファイル、あるいは1つの入力と1つのcheckpointファイルをマージすることがそれぞれ可能です。
  • 大きな電荷を持つ系あるいは高スピン系で、ダミー基底関数を分子力学法と一緒に用いた場合の問題を修正しました。
  • Polar=(Cubic,DCSHG)により、2次の超分曲率(gamma)を周波数依存超分曲率(betas)の数値差分により求めることができます。これら超分曲率は、標準座標系で(すなわち、betaの要素に沿ってかつ双極子モーメントに直交して)出力されます。
  • 新バージョンのAIMPACで使われているWfnXファイルを、Output=WfnXで出力することができます。
  • 非常に大きな(2万原子以上)MMの系に対する、特にクーロン項やvan der Waals項の範囲に制限を適用した場合での性能を向上させました。 新しいルートオプションGeom=Hugeが追加され、QM計算には有用ですが膨大なMM計算の実行には不必要であり時間がかかってしまう、様々な操作を停止します。
  • MaxDiskオプションがDefault.Routeファイルで指定できるようになりました。
  • 新しいDFTBパラメーターファイルのデータを取り込めるようにするための、フリーフォーマット入力ルーチンを生成しました。但しこれらのファイルをG09で使用するにはまだいくつかの修正が必要です。
  • TDDFTを用いてECDの全テンソル(四極子の要素を含む)を出力します。
  • Hu, Lu, Wangによる電荷フィッティングモデル(JCTC 3 (2007) 1004-13)がPop=HLYで使用できます。著者は周期表の始めから18元素のモデルについて必要なパラメーターのみ決めていました。 代わりのバージョンであるPop=HLYGAtでは、HLYフィッティングスキームは用いますがGaussianの標準原子密度を一緒に用いることで、周期表全体での利用を可能にしています。 どちらでも求めることが可能な系で、原子電荷の差は通常1-5%の間です。
  • ビリアル条件を厳密に満足させるために分子をスケーリングする、Todd KeithによるSCVS法を加えました。
  • ユーザーが選択した積分範囲の指定をより一般的にするために、IOpの使用方法を更新しました。
  • 不適切な曲率の領域を最小化する時の最適化のデフォルトアルゴリズムを修正しました。
  • AM1とPM6のinitial guessを修正しました。
  • 2次構造に関するONIOMおよびMMパラメーターのより詳細な解析を行います(デフォルトでは、2次構造情報が得られる場合1万原子未満の系)。残基の正味のMM電荷と残期間の距離を出力します。
  • より多くのSMPプロセッサーを用いる計算、およびSCF振動計算を含む様々な計算性能を改良しました。
■Gaussian 09 リリースノート リビジョンA.02

リビジョンA.01からの変更点
  • 構造最適化中において、ヘシアン行列で大きな負の値を持つ固有値の扱いを改良しました。
  • DFTの計算を「Int=DKHSO」の指定で行った場合に、自動的に実行されるDFTと通常のSCFの連携は機能しませんので、初期段階で拒否するようにしました。
  • ONIOMの入力で、2価のリンク原子をチェックするようにしました。 これらの原子の位置が、距離のスケール因子を1にしないと間違って定義されてしまいますが、このスケール因子を強制的に1にすると計算モデルは通常質が悪くなってしまいます。 このような入力は通常エラーになりますので、リンク101で拒否するようにしました。キーワード「IOp(1/132)」を使用してこの入力を強制的に受けさせることもできますが、あまりお奨めできません。
  • Semi-direct積分交換法がデフォルトになりました。このコードは、Full-directやin-coreアルゴリズムよりも並列化における効率が高くなり、単独のプロセッサーでも、他のアルゴリズムより効率よく計算できます。
  • 入力ファイルにPDBの二次構造情報が含まれている際に、キーワード「ONIOM=InputFiles」が失敗するバグを修正しました。
■Gaussian 09 リリースノート リビジョンA.01

使用法の留意点
  • CIS振動数をHerzberg-TellerあるいはFranck-Condon-Herzberg-Teller解析で使用する場合、CIS振動計算を数値的に行う必要があります(FreqではなくFreq=Numer)。 これは、解析的な力の定数計算では遷移双極子微分が計算されないからです。これに対応する解析の基底状態でのHF振動計算でも遷移双極子微分が必要となりますが、この場合通常は解析的に計算が行われます。
  • PCM溶媒中でのCISおよびCASSCF振動数も同様に、Freq=Numerを用いて数値的に行う必要があります。
  • FMM法を基にしたlinear scalingアルゴリズムが、Linda並列化されました。 今後は、大きな分子をLinda並列計算する際にNoFMMを指定する必要が無くなり、プログラムにより選択されるデフォルトのアルゴリズムで、より高速に実行することができます。
  • Opt=GDIISキーワードはまだ使用できますが、廃止予定となっています。 新しくデフォルトとされた最適化アルゴリズム(Opt=GEDIIS)の方が、いくつかのケースでG03のデフォルト(Opt=RFO)よりも有効であったGDIISよりも優れています。
  • 大きな分子をDFTで最適化する際に多くのとても低い振動数のモードが現れる場合、より大きなDFTグリッドを指定(Int=UltraFine)すると計算がより確実に進行します。
  • Pure DFT関数を使用する場合、Default.Routeファイルのrouteセクション(-#-行)にDenFitキーワードを追加する事により、密度フィッティング法をジョブのデフォルトとすることができます。 フィッティングは、数百原子まで(基底セットに依存)の系では正確にクーロン項を計算するより速いです。しかし、かなり大きな系ではlinear scaling法を用いた正確なクーロン計算より遅くなります。 このクーロン項計算は自動的にオンになります。
  • デフォルトのIRCアルゴリズムが変更になりました。詳しくは、ユーザーズガイドをお読みください。デフォルトでは、反応経路上の各点のエネルギーと反応座標だけが出力されます。 もしも反応経路に沿った構造パラメーターが必要な場合は、Geom=ModRedundantキーワードを利用して冗長内部座標を設定するか、IRC(Report=Read)によりIRC計算に対して指定します。
使用法とデフォルト設定のGaussian 03からの変更
  • 多くの変更がPCMアルゴリズムに対して行われています:
    • デフォルトの表面積分は、新しく連続ポテンシャルエネルギー面を与えます。全ての新しい計算において、このアルゴリズムの使用を強く推奨します。 routeオプションのSCRF=G03Defaultsにより、ほとんどのデフォルト値をG03の物と同じにできますが、以前G03でなされた計算との比較のみにご使用ください。
    • デフォルトのIEFPCM溶媒和法あるいはSCRF=CPCMを使用する場合、Gaussian 03では溶媒和エネルギーへの非静電項の寄与を計算し出力していましたが、これらをエネルギーに取り込んでいませんでした。 同様に、構造最適化や振動計算などで使用するエネルギーにも取り込んでいませんでした。Gaussian 09ではデフォルトでは、これらの値をいっさい計算しないようにしました。
    • 新しいSMD溶媒和モデルを、非静電溶媒和項の溶媒和エネルギーの絶対値や他の性質を計算する際に推奨します。 SCRF=SMDを指定すると、SMD非静電項が基本的なエネルギー("SCF Done"行のSCFエネルギーや関連するエネルギーなど)、構造最適化および振動計算に取り込まれます。非静電ネルギーは、個別にも出力されます。
    • 溶媒和エネルギーの絶対値は、気相で系の構造最適化と振動計算を行ってから、同じ計算をSCRF=SMDあるいはSCRF=(SMD,Solvent=...)を指定して行ってください。
    • PCM入力のSCFVacオプションは削除されました。もしも事前に気相エネルギーが必要な場合は、溶媒和計算の前に別のジョブとして気相計算を行ってください。
  • MPとCC計算では、部分変換(Tran=IABC)がデフォルトとなりました。この手法は多くの系で速く、特に複数のプロセッサーを使用した場合に効果的です。全軌道変換は、Tran=Fullで指示できます。
  • 1点計算を含む全ての計算において、デフォルトのSCFの収束判定値は電子密度で108となっています。
  • デフォルトで使用される物理定数は、2006 CODATAテーブルの物を使用しています。Gaussian 03で使用していた物はConstants=1998で使用できます。
  • AM1, PM3そしてPM3MMではデフォルトで、新しい半経験的手法のコードを使用します。これは、厳密な解析的1次および2次微分を行いますが、若干異なった全エネルギーを与えます。 それは、重なり積分をSlater関数ではなく6-Gaussian展開によって求めているからです。 AM1=OldあるいはUse=L402を指示すれば古いMOPAC 6のコードが使用され、それぞれ従来のリンクあるいはlink402が使用されます。
  • Stable=Optでは、最初のSCFでは通常の(L502)SCF計算が行われますが、それ以降はSCF=QCのSCF計算が行われます。
ソースコードからのビルド
  • Gaussian 09をLindaとビルドするには、Lindaバージョン8.2が必要です。古いバージョンのLindaでは、実行プログラムを構築できません。
  • Intel Macでビルドする場合、大小文字を区別するcase-sensitiveなファイルシステムが必要です。ia32バージョンをビルドするには、
    bsd/bldg09 all mac32
    としてください。ビルドスクリプト中にはx86とx86-64マシンを区別する機能は無く、デフォルトではx86-64向けにビルドされます。

Gaussian 09 User's Reference正誤表
  • 以下がリンクのリストから漏れています(38-39ページ):
    L117 Performs IPCM calculations.
    L610 Numerical integration (for testing integral codes).
  • 以下のリンクがリストに含まれていますが、Gaussian 09には含まれていません:
    L909, L921, L922
  • ノーマルモード出力の選択に関して107と289ページにthreshキーワードが議論されていますが、Gaussian 09では使用できません。
  • 166ページのOpt=DiagFullへの参照は、Freq=DiagFullの間違いです。
 
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Gaussian09M動作環境
MacintoshG4, G5, Intelプロセッサー
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32bit版
CPU: Intel Pentium 4, AMD Athlon, and later
32bitマルチCPU版は4並列まで対応
OS: Windows XP, Server 2003, Vista (Home Basic, Business, Ultimate), Windows 7, Windows 8, 8.1
1GB以上のメモリー
ディスクスペース:
プログラム用:200MB以上
スクラッチ用:500MB以上
CD-ROM,Mouse

64bit版
CPU: AMD64 or Intel64 (EM64T) system running supported 64-bit Windows version
OS: 64-bit Windows 7 Home, Premium, Professional, Ultimate, and Windows Server 2008, Windows 8, 8.1
2GB以上のメモリー
ディスクスペース:
プログラム用:200MB以上
スクラッチ用:500MB以上
CD-ROM,Mouse

参考資料
Gaussian, GaussView カタログ (PDF)
CONFLEX&Gaussian連携(PDF)
文献
学会発表
コンピュータプログラム
 

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