受託計算は、弊社で取り扱っているソフトウェアCONFLEX、Gaussian、AMBERで実施可能な計算を、お客様の代わりに行うサービスです。

  • 導入前の評価を行いたい
  • 計算を始めるにあたり目的に合う手法を知りたい
  • 計算資源が不足している
  • 人的・時間的に余裕がない
  • 入力データの作成方法に不明点がある
  • 計算結果を整理する手順が分からない
などといった場合にご利用いただけます。
ご依頼の際には、
  • 計算実行に必要な事前準備の作業量
  • 全ての計算を実施し終わるまでに要する期間
  • 計算結果の解析
  • 終了後にお渡しするデータの詳細
などについて事前に打ち合わせを行い、実施内容・費用をご承諾いただいた上で作業を開始いたします。
CONFLEX Crystal

作業終了後、計算に使用した入力データと得られた出力データを作業報告書とともにお渡しした場合、報告書にある作業内容とデータを照らし合わせることで、全ての計算をお手元の環境で再現し応用することが可能になります。

受託計算サービス実施例

有機分子の3状態それぞれの最安定構造の特定と電子状態計算
指定された分子の中性、アニオン、Zwitterionの3状態について、最安定構造の振動スペクトルを求めたいというご依頼を頂きました。
計算は、以下の手順で行いました。
  1. CONFLEXを用い、溶媒効果を考慮した配座探索
  2. 得られた最安定構造について、溶媒効果を取り入れた電子状態計算(Gaussian)で構造最適化と振動解析を実施
配座異性体の存在比を考慮したIRおよびVCDスペクトルの算出
指定された分子について、複数の配座異性体からの寄与を考慮したIRおよびVCDスペクトルを求めたいというご依頼を頂きました。
計算は、以下の手順で行いました。
  1. CONFLEXで配座探索を行って配座異性体を特定
  2. 配座異性体について電子状態計算(Gaussian)で構造最適化と振動解析を行ってIRとVCDを算出
  3. 電子状態計算で得られたエネルギー値から求めた存在比を元に、IRおよびVCDスペクトルを合成
金属錯体の安定配位構造の探索
金属原子に有機分子が配位する錯体系について、安定な配位構造の候補を得たいというご依頼を頂きました。
以下の手順で、錯体構造の探索を行いました。
  1. 配位する有機分子の配座異性体をCONFLEXで特定
  2. 得られた異性体が金属に配位する位置と向きを求めるためにホストーリガンド配位探索を実行
  3. 配座異性体と配位構造との組み合わせによる複数の構造から構造を選択し、電子状態計算(Gaussian)で構造最適化
有機分子結晶の構造最適化
既知の有機分子結晶について、最適化構造や基準振動、粉末X線回折パターンの算出に関してご依頼いただきました。
実施には以下の手順でCONFLEXを利用して行いました。
  1. 結晶構造の実験データを論文等から取得
  2. 結晶構造最適化
  3. 基準振動解析
  4. 粉末X線回折パターンの算出
安定な結晶構造の算出
お客様指定の有機分子について、安定な結晶構造の算出に関してご依頼いただきました。
実施には以下の手順でCONFLEXを利用して行いました。
  1. 指定有機分子の配座探索
  2. 指定空間群での結晶構造探索
  3. 得られた結晶構造やエネルギー等の提出
実験等で得られた粉末X線回折データをご提供いただいた場合は、得られた結晶構造から計算される粉末X線回折データと比較した結果についても提出しております。
分子の脱離反応の活性化エネルギーおよび反応熱の算出
同一骨格の分子について、脱離基の種類と位置による、脱離反応の活性化エネルギーと反応熱の違いを求めたいという依頼を頂きました。
反応熱は、反応物および生成物それぞれについて構造最適化を行ってエネルギー差を取ることにより求めました。
活性化エネルギーについては、脱離の際に開裂する結合箇所についてscan計算を行ってポテンシャルエネルギー曲面を求めることで、遷移状態に対応する原子間距離を推定してから遷移状態構造を特定する計算を行いました。
周期境界条件化での、水分子付加反応
周期境界条件を貸した計算で、構成原子に対する水分子の付加反応について解析したいという依頼を頂きました。
モデル構造について一次元周期境界鏡条件を設定し、付加反応が起こる可能性のある箇所についてポテンシャルエネルギー曲線を求め、それらの結果を比較しました。
化合物誘導体の吸収スペクトル
指定の化合物誘導体について、UVスペクトルを求めたいという依頼を頂きました。
考えられる構造について密度汎関数法(DFT)で構造最適化を行ってエネルギー極小構造を求め、その構造について同じ汎関数を用いたTime-Dependent (TD) DFT計算により励起状態を求めてスペクトルを算出しました。
生体分子シミュレーションの手順書の作成
Amberシミュレーションでは、多くのコマンドをターミナル上で入力して実行することになります。初学者にとってコマンド入力は敷居が高く、研究を進めるにあたり改善策のご相談がありました。
そこで、電子実験ノートとして多く利用されているJupyterノートブックを利用し、一連の手順を記述した資料の作成を請け負いました。その中では、下記の一連の作業をボタンをクリックするだけで自動的に実施可能となっています:
  • PDBファイルの処理(不正な原子の削除など)
  • 水和系を作成しパラメーターの割り振り
  • 系の最適化・緩和・サンプリング
  • 計算結果の解析・グラフ作成など
含金属タンパク質のパラメーター調製
天然には金属を含むタンパク質が多く存在し、シミュレーションの実行には、金属に配位した状態でのパラメーターが必須となります。これらパラメーターの調整の依頼がありました。
実施には以下の手順でGaussianを利用して行いました:
  • 金属周りの部分構造の抽出
  • 電荷分布の算出
  • 振動計算による力の定数の算出
  • 上記計算を基に、Amberパラメーターの作成
  • テスト計算で、構造の正常性を確認
自由エネルギーの評価
タンパク質の受容体に結合したリガンドの結合自由エネルギーの見積もりに関してご依頼をいただきました。
複数のリガンドを比較したいとの事でしたので、Amberの自由エネルギー・ワークフローの設定および計算の実施を行いました。
  • 受容体となるタンパク質のPDBファイルの取得および調整
  • リガンドとなる一連の小分子のMol2形式によるファイルを作成
  • 小分子のパラメーター調整を、Gaussianを利用して実施
  • 系の緩和→サンプリングに至るMD計算設定の作成
  • 自由エネルギー・ワークフローの実行によるデータサンプリング
  • MM-PBSA法を利用した、自由エネルギーの見積もり