CONFLEXの配座探索では、鎖状部分の結合まわりの回転や、環を構成する原子のFlap・Flipにより、初期構造を微少変形させ複数の出発構造を発生させます。 また、結晶構造探索では、空間群や分子の初期配置、向きを変えることで様々な充填様式を持つ出発構造を生成させます。 シングルコア版のCONFLEXでは、発生させた構造を順番に最適化していきますが、並列版のCONFLEXであるParallel CONFLEXでは、構造最適化を複数のCPU/coreに分散させて行うことができるため、実行時間を大幅に短縮することができます。

Parallel CONFLEX algorithm
図 配座探索における構造最適化計算の並列処理

・結晶構造探索計算の並列化性能
3-aza-bicyclo(3.3.1)nonane-2,4-dione A、2-((4-(3,4-Dichlorophenethyl)phenyl)amino)benzoic acid B、(2,3-diiodopentacene-6,13-diyl)bis(ethyne-2,1-diyl)]bis(triisopropylsilane) Cの各分子の結晶構造探索計算について、 その並列化性能を下記図表に示します。構造最適化における実行時間と速度向上率のグラフより、Worker数を増やすと、実行時間は効率よく短縮されることがわかります。また、並列化効率は約98%と非常に高い値を示します。なお、CPUは、Intel(R) Xeon(R) Gold 6258R CPU 2.70 GHzを利用しました。

Parallel performance  iv
図 分子Aの結晶構造探索における並列化性能 (a) 構造式 (b) 実行時間と速度向上率
Parallel performance  xxiii
図 分子Bの結晶構造探索における並列化性能 (a) 構造式 (b) 実行時間と速度向上率
Parallel performance  xxvii
図 分子Cの結晶構造探索における並列化性能 (a) 構造式 (b) 実行時間と速度向上率
表 55 workers利用時の実行時間と並列化効率
分子 非対称単位内原子数 生成初期構造数 予測構造数 実行時間(h) 並列化効率(%)
A 22 104,976 1,976 4.8 99.7
B 43 20,412 3,083 7.1 97.6
C 100 8,748 999 9.9 97.5

CONFLEXは豊橋技術科学大学の後藤仁志准教授により開発が開始された配座創出プログラムです。
参考文献:J. Am. Chem. Soc., 1989, 111, 8950-8951.
J. Chem. Soc., Perkin Trans. 2, 1993, 187-198
S. Obata, H. Goto, AIP Conf. Proc. 1649, 130-134, 2015.
H., Ishii, S. Obata, N. Niitsu, et al. Sci Rep 10, 2524 2020.